「信頼できる人から紹介された会社だから、ここに任せよう」。海外でのつながりが少ない段階では、紹介は心強い入り口です。
その安心感を、実際の販売活動へどうつなげるか。今回は、紹介先の評判や会社規模に加えて、自社との適合を確かめるための問いを整理します。

1. 紹介があると、選定を急ぎたくなる
例えば、現地視察で有力な企業を紹介され、その場で協業に前向きな話が出たとします。相手には広い人脈があり、会社の規模も大きい。早く進めたいと感じるのは自然なことです。
ただ、会社として信頼できるかと、自社の商品を狙う相手へ販売できるかは、それぞれ確認したい論点です。
紹介者がよく知っているのは、経営者の人柄かもしれません。ある業界での実績かもしれません。まずは、何を理由に推薦してくれたのかを聞いてみると、確認済みのことと、これから見るべきことを分けられます。
自社側も、何を期待しているかを言葉にしておきます。顧客紹介なのか、営業活動なのか、在庫や顧客対応も含む販売体制なのか。「良いパートナー」という言葉の中身が曖昧なままだと、双方の期待がずれやすくなります。
2. その会社は、自社の買い手に届くのか
候補先の説明を聞く前に、自社が狙う顧客を具体的にしておきましょう。地域、業種、用途、販売経路などが分かれば、相手の強みとの接点を確認できます。
聞きたいのは、会社案内の取引先一覧だけではありません。
- どの地域、どんな顧客層を担当しているか
- その顧客へ、普段どのように提案しているか
- 自社商品に近い用途の商材を扱っているか
- 今回の営業を、誰が担当する想定か
例えば、小売店との関係が強い会社でも、自社が業務用の顧客を狙うなら、別の接点を確認する必要があります。同じ「食品を扱う会社」でも、届く買い手が同じとは限りません。
既存商材との関係も見ておきます。一緒に提案しやすいのか、営業担当の説明負担はどの程度か、ほかの商品と販売活動の優先順位をどうつけるか。取り扱いへの意欲を、実際に使える時間や人員と合わせて確認します。
相手に顧客の秘密情報を求める必要はありません。共有可能な範囲で、提案先の特徴や活動方法を聞くだけでも、適合を考える材料になります。
3. 販売活動の役割を、具体的にすり合わせる
「販売をお願いします」という一言には、多くの業務が含まれます。候補先への連絡、商品説明、見積もり、受注、在庫、納品、問い合わせへの対応。どこまでを誰が担うか、分けて話してみてください。
整理表には、業務ごとに「主担当」「自社が用意するもの」「確認が必要なこと」を置きます。
例えば、相手が商談を設定し、自社が技術説明をするなら、説明資料の言語や参加者、回答できない質問の持ち帰り先を決めます。相手が在庫を持つ想定なら、対象商品、補充の連絡、保管や返品への対応も確認事項になります。
活動報告についても、双方が使える形にします。訪問件数だけでなく、提案した用途、顧客の反応、止まっている条件、次の行動を共有できるか。報告を受け取った自社が何を判断するかも合わせておくと、記録の目的が明確になります。
相手に任せる範囲を決めるのと同時に、自社が返す回答や資料の担当も置きましょう。相手が動けない理由が、自社の確認待ちにある場合も考えられます。
4. まず試す範囲と、見直す時点を決める
協業を始める際には、最初に試す商品、顧客層、地域、活動の範囲を整理します。初めから広く任せる場合も、その範囲を選ぶ理由を共有しておきたいところです。
試行を評価するために、何を見るかも決めます。提案先との接点ができたか、顧客の反応を把握できたか、未確認の条件が整理されたか。受注の有無に加えて、活動がどこまで進んだかを追います。
反応が弱い場合には、顧客との接点、提案する価値、商品条件、役割分担のどこに見直す余地があるかを一緒に考えます。成果が出ないという一言だけでは、次の修正が決まりません。
見直す時点と、その場で必要な資料もあらかじめ設定します。続ける、範囲を変える、いったん止めるという選択を、活動の記録から話せる状態にしておきましょう。
独占性、契約期間、終了時の扱いなどの契約条件は、事業上の希望を整理したうえで、対象国や取引に詳しい専門家へ個別に確認してください。
5. まとめ
現地パートナーは、自社の狙う買い手に届き、活動を一緒に具体化できるかで選ぶ。
次の候補先との面談では、会社の強みを聞くことに加えて、「最初に誰へ、どんな提案をするか」を話してみてください。協業の姿が具体的になります。
DOESでは、現地の販路開拓やパートナー探索についてご相談いただけます。狙う買い手と必要な役割を整理し、実行につながる体制を考えるところからお聞かせください。