※本記事は、日本でも事業をやっていて、海外展開を検討している企業に向けたものです。
1.海外進出の入り口で、思考は2つに分かれる
海外進出を検討するとき、経営者の思考は大きく2つに分かれます。
「日本はダメだから、海外」 「日本”だけ”じゃダメだから、海外」
似ているようで、この2つはまったく別物です。
そして、この出発点の違いが、その後の海外事業の成果を大きく左右します。

2.「日本はダメだから海外」がうまくいかない理由
「日本はダメだから海外」という思考は、本質的には逃避です。
- 日本市場が縮んでいる
- 日本の競争が厳しい
- 日本では儲からない
こうした”日本に対する不満”が出発点になっています。
しかしこの状態で海外に出ても、ほとんどの場合うまくいきません。
理由はシンプルです。
逃げてきた人を本気で迎えてくれる市場は、世界のどこにもないからです。
ASEANもアメリカも、既に競合がひしめいています。 「日本がダメだから来ました」という会社に、現地の優秀な人材も顧客も、心を開きません。
そして本社側でも、日本事業への打ち手が止まり、結果として日本も海外も中途半端になります。
3.「日本”だけ”じゃダメだから海外」は何が違うのか
一方、「日本”だけ”じゃダメ」という思考は、分散の発想です。
- 日本は良い市場である
- ただし、ひとつの市場に100%依存することにはリスクがある
- だから、海外にもう一本の柱を作っておく
この思考で出る経営者は、日本事業を縮小しません。 むしろ、日本事業を強化しながら、横にもう一本の柱を立てに行きます。
これは”日本がダメ”ではなく、”ひとつの場所に全部置いていることのリスク”を見ている発想です。
国内営業で言えば、1社の大口取引先に売上の100%を依存している状態と同じ。 取引先が好調なときは問題ありません。しかし、その1社が傾いた瞬間、自社も傾きます。

4.”日本だけ”の構造的リスク
「日本だけ」に依存していることのリスクは、好調なときほど見えません。
しかし構造として、以下のリスクが常に存在しています。
人口・市場の縮小 消費人口は緩やかに、しかし確実に縮小していきます。
通貨・経済の変動 円資産だけに依存することのボラティリティです。
災害・地政学リスク 地震・気候変動・地政学リスクが一拠点に集中しています。
同質化する競争環境 同じ市場で似た企業同士が、価格で削り合うことになります。
これらは”日本がダメ”なのではなく、”100%依存している構造”のリスクです。
ひとつの場所に100%置いた資産は、その場所のリスクを100%引き受けることになります。
5.海外進出は”分散ポートフォリオ”の組み立て
「日本”だけ”じゃダメ」という思考に立つと、海外進出はポートフォリオの組み立てとして捉えられます。

例えば、売上構造が日本100%の会社と、日本60%+海外40%の会社。
日本市場が-20%になったとき、前者は全社売上が-20%。後者は-12%です。
これは気合や根性の話ではなく、構造の話です。
そして海外進出で得られる”分散”は、売上だけではありません。

6.日本拠点と海外拠点は”両輪”になる
「日本”だけ”じゃダメ」の発想で海外に出ると、日本拠点と海外拠点が両輪になります。

日本拠点が海外拠点に提供できるもの。
- 基幹事業のキャッシュ
- 蓄積されたノウハウ
- 既存の信用・人脈
- 品質・組織管理力
海外拠点が日本拠点に持ち帰れるもの。
- 成長市場のスピード感
- 新しい人材・発想
- 通貨・資産の分散
- 新規顧客接点
海外進出のゴールは、海外で勝つことだけではありません。
日本拠点を含めた”全体”を、より強くしなやかにすること。これが本来の目的です。
7.まとめ「海外進出は”日本だけじゃダメ”の発想で動かすべき」
海外進出は、日本事業からの逃げ場ではありません。
- 「日本はダメだから海外」では、日本も海外も中途半端になる
- 「日本”だけ”じゃダメだから海外」だと、両方が両輪で伸びていく
この出発点の違いが、海外事業の成否を大きく分けます。
私たちダズ・インターナショナルは、海外進出を検討する企業に対して、
「日本”だけ”じゃダメだから海外も持つ」という発想で事業を組み立てる支援をしています。
日本でしっかり戦っているからこそ、海外も意味を持つ。 日本でしっかり戦うために、海外も必要になる。
この両輪の発想が、海外進出の入り口にあるかどうか。 そこから、すべては始まります。