「現地へ行ってみた。可能性も感じた。でも、次に何を決めればいいのか」。

海外視察を計画するとき、訪問先の数や移動の効率から考えていませんか。限られた滞在時間を有効に使うには、帰国後に必要な判断から旅程を組み立てる方法があります。

今回は、現地で得た印象を、自社の進出判断に使える材料へ変えるための整理を提案します。

出発前の仮説、現地確認、判断、次の一手を順に整理した4段階の視察設計図。

目次

  1. 帰国後に「で、どうする?」が残る視察
  2. 出発前に、確かめたい仮説を決める
  3. 街を見る、売り場を見る、買う側に聞く
  4. 帰国後は、印象を次の行動へ変える
  5. まとめ

1. 帰国後に「で、どうする?」が残る視察

例えば、食品メーカーが海外の店舗を巡る場面を想定してみます。人通りは多く、日本の商品も並んでいる。取引候補先からも前向きな言葉をもらえた。帰国後の報告には、魅力的な写真がそろいます。

ところが、「自社商品は、誰に、どこで買われるのか」と聞かれると、答えが曖昧になる。見たものと、決めたいことが結びついていない状態です。

街の活気は市場を知る入り口になります。ただ、その活気が自社の需要を示しているかは、別途確かめる必要があります。棚に商品があることから分かるのは取り扱いの事実であり、販売量や継続購入の状況までは分かりません。

視察の成果を整理するときは、「見た事実」「聞いた話」「自社の解釈」を分けてみてください。それだけでも、何を根拠に判断しているかが見えやすくなります。

2. 出発前に、確かめたい仮説を決める

最初に置きたいのは、今回の視察を終えたら何を決めるか、という問いです。

進出候補として追加調査をするのか。特定の販路で商談を始めるのか。商品仕様を見直すのか。判断したいことによって、会う相手も訪れる場所も変わります。

そのうえで、仮説を自社の商品に即した言葉にします。

  • 顧客:どんな場面で使う人が、購入候補になるか
  • 価格:買い手は、どの商品やサービスと比較するか
  • 販路:その顧客は普段、どこで購入しているか

「日本の商品に需要があるか」では広すぎます。例えば、「家庭用の小容量商品が、日常使いの売り場で比較対象に入るか」まで絞れば、見るべき棚と聞くべき相手が具体的になります。

仮説には、確かめる方法も添えます。売り場で観察するのか、買い手に聞くのか、流通関係者に条件を確認するのか。訪問先を埋める前に、この対応関係をつくっておきましょう。

3. 街を見る、売り場を見る、買う側に聞く

現地では、街の様子、売り場、買う側の声を組み合わせます。同じ業種でも、立地や顧客層、販売経路によって見えるものが変わる可能性があるためです。

店舗では、商品名や価格だけでなく、容量、陳列位置、隣にある比較商品、販売単位を記録します。観察した日時や店舗の特徴も残しておくと、後から条件をそろえて読み返せます。

買い手には、「これを買いますか」だけでなく、「普段は何を使っていますか」「どんな場面で困りますか」と尋ねてみます。自社商品の説明をする前に、現在の選び方を聞くことで、提案の前提を確認できます。

流通関係者や候補企業には、誰に提案できるか、取り扱いの判断に何が必要かを聞きます。消費者が欲しいと言うことと、販売する企業が扱えることは、同じ確認項目ではありません。

一人の話や一店舗の様子を、市場全体の答えにしないことも大切です。意見が分かれたら、その違いが顧客層によるものか、用途や販路によるものかを次の問いに変えます。

4. 帰国後は、印象を次の行動へ変える

帰国後の報告は、訪問順の日記に加えて、出発前の仮説ごとに整理してみてください。

記入するのは、「確認できたこと」「未確認のこと」「次に確かめること」です。写真や面談メモは、それぞれの根拠として添えます。

例えば、想定する顧客が利用する販路は見つかったが、取り扱い条件が分からないなら、次の行動は候補企業への条件確認です。用途への反応はあったが購入意向が曖昧なら、提案内容を整えたうえで、小さなテストを検討します。

その際、誰が、いつまでに、何を確認するかも決めます。追加調査に進む場合は、その答えによってどの判断が変わるかを明記しておくと、調べ続ける状態を避けやすくなります。

今回の範囲で決められないことが残っても構いません。判断に使える材料と、不足している材料が分かったこと自体が、次の計画につながります。

5. まとめ

視察は、現地を見た量より、帰国後に何を判断できるかで設計する。

次の視察を予約する前に、「帰国後に決めたいこと」を一文で書いてみてください。そこから必要な仮説、訪問先、質問を逆算すると、旅程と事業の検討がつながります。

DOESでは、市場調査や現地視察を含め、判断材料をそろえる段階からご相談いただけます。LocaResearchへのご相談では、確認したい市場と、いま決めきれないことをお聞かせください。

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