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【海外事情】コロナ禍での海外ビジネス 飲食店の出店支援で気づいた3つの変化
こんにちは。ダズ・インターナショナルの田村アツシです。
僕が17年間住んでいたタイのバンコクは、東京に匹敵する「食の宝庫」です。
フランス、ドイツ、スペインといったヨーロッパの料理から、トルコやレバノンといった中東料理、アルゼンチンのステーキ、アメリカのハンバーガー、ロシア料理やインド料理、世界各地の料理が、とても高い水準で提供されています。
もちろん、日本食も例外ではありません。
JETROバンコクの調査によれば、バンコクに2000店以上、タイ全県では4000店以上の日本食レストランがあります。
これほどの大きな市場ですから、コロナ禍による影響は甚大なものがあるはずです。
今回は、コロナ禍のなか、「タイに飲食店を出店したい」という事業者の支援をしたなかで気づいた、現地の変化をまとめました。
コロナ禍ロックダウン期間に飲食業の人材が転職
2021年にスタートした出店事業は、まず「市場調査」から始まりました。
「コロナ禍で、飲食業界がどんな状態になっているのか知りたい」という課題があったからです。
現地の飲食店経営者や、食材の卸業といった関連業者の方を対象とした「有識者調査」では、さまざまな現地情報があぶり出されます。
とくに注目だったのは「飲食業で働くローカル人材がみつからない」という問題でした。
タイでは、コロナ感染拡大対策として、数度のロックダウンを行っています。その間、飲食店は厳重な営業規制が敷かれ、営業を続けることが困難な事業者が多数、休業や廃業、従業員の解雇といった措置を取らざるを得なかったようです。
元の職場で働けなくなった飲食人材が、田舎に戻ったり、別の業種に転職した結果、ロックダウン解除後に飲食業全体での人材不足が発生しました。
売り手市場の飲食人材市場では、人件費も上がり、より条件のよい競合店からの引き抜きなどが発生しています。
飲食事業者の廃業によって、空いた優良物件に注目が集まっている
飲食事業者の廃業にともない、立地の良い優良物件の空き看板「FOR RENT」が目立つようになりました。
コロナ禍以前には、目の飛び出るような高い賃料でも成り立っていた高級店や、予約しなければ入れない人気店がクローズしました。
バンコクの中心部、アソーク駅に近いショッピングセンターのレストラン街では、テナントすべてが撤退した時期もあったそうです。
しかし、タイ政府が経済優先の規制運用に切り替えたことで、いま、優良物件への問い合わせが急増しています。
今回、支援したプロジェクトでは、リモートでの物件探索とオンライン内見を経て、実際に現地で物件訪問を行うまで約2週間ほどの期間でした。
この間に「ほかの希望者とよい条件で合意できそうなので、内見はキャンセルしたい」という無情な対応をされたことがあったほどです。
デリバリーやケータリングが当たり前のサービスに
日常の外出にも制限がかかるようなロックダウンを経験しなかった日本人には、ちょっと想像がつかないかもしれません。
タイをはじめ、いくつかの国では「外出を禁止する時間帯」といった厳しい規制をふくむロックダウンをおこなってきました。
その間、生活者である市民は、外食はおろか、食材の買い出しすら不自由を感じる期間があったそうです。
そこで、現地では「デリバリー」や「ケータリング」が急速に浸透しました。
アイスコーヒー一杯から、屋台料理や有名店の一品まで、気軽に注文し「自宅で外食」を楽しむ文化が急速に根づきます。
鳥取県の報告書によると「注文件数は新型コロナウイルス流行前の2019年の3,500万~4,500万件から2.7~3.4倍の約1億2,000万件に増加」とあります。
https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1263530/202109report.pdf
これから飲食店をタイで出店するには、「デリバリー」対応も事業項目のひとつに加えた、出店計画が必須になります。
変化を「チャンス」にするために必要な3つの行動
ここまで読んでいただき、「現地での飲食ビジネスを検討してみたい」と思った方には、ぜひ以下の3つのポイントを忘れずに事業立案に取り組んでいただきたいと思います。
1)より綿密に、リアルタイムな市場調査を実施
コロナ禍で、国境を越えた人の移動が分断されてしまったことにより、現地の様子を目で見て、肌で感じる機会が極端に減りました。
海外現地の「いま」が、どのような状態なのかを把握することが、以前に比べてとても難しくなっています。
人や物、お金の流れ、現地のトレンドやニーズがどのように変化しているのか。「自分の知っているかつての現地事情」は、役に立ちません。
現地の事情に通じた専門家を通して、現状を正確に把握する市場調査を実施することで、データに基づいた事業計画を立てていきましょう。
2)市場調査の結果から、現実的な資金計画を作成
人件費や材料費の高騰、一時的に割安な物件の費用など、現地の「お金」にまつわる状況は、いまも刻一刻と変化しています。
想定よりも、何が高くて、何が安いのか。全体のプロジェクト予算のなかで、どこに、どれだけのお金を割り振ることが可能か。
できれば、食材ひとつひとつの仕入れ価格までを含む、調査データにもとづいた資金プランを、事業計画の中心に置きましょう。
3)リモートでも可能な、プロジェクト管理を徹底
世界がコロナ禍を抜けたとして、この期間にわたしたちが体験したさまざまな変化は、今後も海外ビジネスにおいては非常に重要な影響を持ちます。
たとえば、Zoomなどオンライン会議ツールを駆使したリモートワークの導入は、海外出張の必要性を考え直すきっかけになっています。
今後の海外出張は、物件の立地や状態を見て、オーナーと面談するといった「現地に行かなければ、できないこと」のための費用となることは明白です。
その代わり、内装工事の施工管理や、キッチン・フロアスタッフの採用といった業務は、オンラインでもできることの範囲になってきました。
そういった「リモートでやらなければならない業務」を進めていくには、信頼のおける現地パートナーと提携し、キメの細かいリスク管理とプロジェクトマネジメントが必要になってきます。
ロードマップや業務報告といったドキュメントベースでのプロジェクト管理が、だれでも理解できる状態になっていること、しっかりと可視化されていることがとても重要です。
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