こんにちは。ダズ・インターナショナルの田村アツシです。

タイに住んで17年。現地法人経営は10年。
そこそこ長い期間をタイで過ごしてきたので、
まあまあヒドイ、というレベルの失敗は
たくさん経験してきました。

その中の一つ。私が現地法人を立てて新規事業として始めた、
在タイ日本人向けの子育てメディアにおける広告営業での失敗です。

その広告クライアントは、インド系のタイ人でした。

タイバンコクにはインド系の由緒正しい、
すてきなテーラーメイドの
スーツショップがたくさんあります。

おおくのインド系スーツショップが顧客をたいせつにする
すばらしいサービスで商売をしています。

誤解を招かないようにあらかじめ伝えておきたいことは、
タイのインド人事業者が悪徳であるということではなく、
この失敗は「防げたはずの複数の要因で起こった」
ということです。

そう、じつは失敗の要因を知っていたのに、
私は対策をしなかったんですね…

そのクライアントが媒体に出稿していた費用、
合計約60万円が未収金になりました。

たかが60万円じゃないかと思う方もいるでしょう。
しかし、当時のわたしにとって60万円の意味は、
金額だけではありませんでした。
その広告案件の単価は、およそ3万円だったからです。

その合計60万円が、どれぐらいの期間で積み重なったものか
想像していただくと、その深刻さがわかってきますね。

ある日、社内の現地経理スタッフが、
「田村さん、このお客さんが広告費を払っていないんですけど…」
と請求書の束を持ってきた時、
馬鹿な話ですが、心の底から驚きました。

『なんで、こんなになるまで、放っておいたの！？』

私は、未収金が発生した原因を考えてみました。

・インド系クライアントは支払いリスクが高い、という業界常識を軽視していた
・毎月の支払いがきちんと着金しているか、の確認を怠っていた
・毎月の支払いがしっかり払われることが自分たちの給料に繋がるという意識を社員に持ってもらうことができていなかった、そのため行動に繋がらなかった

何枚も重なった請求書の束を見ながら、
こう分析しました。

ここには、海外事業を考える上で、
様々な要素が詰まっています。

例えば、一番最後の社員の意識が未熟という部分は、
人材開発や人材マネジメントの技量が問われます。

支払い状況の確認は、社内の仕組みづくりが
しっかりとできていなかったということ。

そして、業界常識の軽視という原因は、
このなかで、もっとも厄介です。

なぜなら、軽視ということは、
「リスクを認識していながら、対策をしていなかった」
ということだからです。

インド系の事業者に対して、特にタイ現地で取引する際には、
しつこいくらいに支払いの管理をすべし、というのは、
現地日系企業の、特にサービス業においては
よく知られている知見のひとつです。

海外のビジネスにおいて、多くの場合
現地の企業や消費者にサービスや物を
購入してもらうかというところがテーマになります。

それを前提として考えた場合、現地の業界の常識を
しっかりと理解しておくと言う事前の調査分析が
どれほど重要かということかが、わかると思います。

ちなみにこのインド系のクライアントさんとは
喧嘩別れや、訴訟になったわけでもなく、じっくりと
話し合いをしながらこの未集金について取り組んできました。

その詳細については、また別のセミナーでお話しする予定です。